日記 9/13

 Tommy Guerreroのこと。ずっと気にしているわけではなくとも、彼の音楽との付き合いは意外と長い。何を買おうか決めずにCD屋に行くとたまたま新譜が出ていて、聴いてみたら良くて買う、みたいなことが不思議と多かった。

 昔から、メインストリームのミュージシャンのアルバムはなぜこんなにボーカル曲ばかりで埋められているのかとたまに思っていた。もう少しインストの曲が増えてもいいじゃないかと。いつしか出会ったTommy Guerreroは一貫してインストゥルメンタルで、ふと振り返ると、今はジャズなどを楽しめるようになった自分のリスナー歴の中で聴き方を広げてくれたようなミュージシャンのひとりだったのかもしれない。

 音楽の雰囲気もルックスもミステリアスなところがある。やはりおれの周りに聴いている知人はいなかった。彼について誰かと話したこともないし、スケートボードをやっている人との交流ももちろんない。他人から見ると、おれなんかとは到底結び付かないミュージシャンかもしれない。背景をスキップしてしまっているとも言えるし、ある意味ではシンプルに彼の音楽が好きなのだとも言える。

 どの作品にも通底するムードがあり、リリースのペースは安定していて、これが彼のライフワークであると感じられる。歌われる言葉が無くとも、映画のように風景やストーリーが浮かんでくるし、唯一の言葉である作品のタイトルにはとても親近感を覚える。"Sidewalk Soul"なんて曲名が付いているとうれしくなって、黙って首肯しながらも音が絡みついてくるのが心地良い。身に纏って歩きたくなるような音楽なのだ。