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 一年の終わりが近づいてくると、今年の総括みたいな話題を目にするようになる。スポーツなどのチャンピオンシップであったり、何々オブザイヤーみたいな企画だったり。おれはワールドストロンゲストマンという大会を思い出す。その名の通り、世界で一番強い男を決めるという趣旨の大会で、実家に居た頃にBS放送で毎年見ていた。長い間忘れていたけれど、今でも毎年開催されているようだ。

 "世界一強い男"というと格闘技を想像しそうなところだが、この大会は力自慢の男達が、ひたすらに重たい物を、持ち上げた回数や運んだ距離などを競うという競技に徹していた。運ぶ対象物もバーベルなどの味気ない専用器具ではなく、でかい石やトラックだったりした(見ていた当時)。選手の背景も様々で、中には農業を営んでいる選手もいたりして、見ているといつのまにかつい応援してしまうのだった。

 物理の法則では「質量×距離=仕事」である。この大会を制する世界一強い男は、つまり世界一仕事のできる男という考え方もできる。原始的かもしれないが、一理はあると思う。