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 今日の事ではないが、先週末に不動産屋に家賃を払いに行った。仕組みはよく分からないが、他の方法よりも直接払う方が数百円安いと言われてから、どうせ近所だし散歩のつもりで毎月払いに行っている。しかしこないだは、受付に座って書類を書くところまでやって、そこで肝心要のお金を忘れて来てしまったことに気付いた。すみませんまた来ますと言い残して自宅から家賃を持ってきて、今度こそ支払いを済ませた。その不動産屋はなぜかおばちゃん達ばかりであり、大変でしたでしょうと言われて、お茶とお菓子をいただいた。軽自動車でのちょっとした移動なのに、遥かな旅路を終えた旅人のような気分になった。これ以上おかしな展開にならないうちにお詫びとお礼を言って立ち去った。

 最近は昼休みにパンを齧りながら、何かしら本を読んでいる。職場にそんなことをする人間は他にいないので、ごちゃごちゃ言われるのが嫌で、おれもスマートフォンを見たり寝たりしていることが多いが、おれが何をしていようともう誰も気にも留めないくらいには馴染んできた(ような気がする)ので、本を読みたければそうする。数ページしか進まないとしても。

 そういう時、NHK Eテレの好きな番組"100分 de 名著"のテキストはちょうどいい。名著そのものでなく、取り扱う番組の、さらにそのテキストムックというのは、邪道中の邪道なのじゃないかと以前は後ろめたく思っていたけれど、何冊か買ううちにこれはこれでしっかり読む価値のあるものだと分かった。価格が安いのも嬉しい。今月はフランツ・ファノンの"黒い皮膚・白い仮面"だ。