12月16日

 たどり着いた週末金曜日。普段は作業服のまま通勤しているが、久しぶりに職場のロッカーで私服に着替えて駅に急ぐ。ここのところ毎年年末に行われている大野悠紀さんのソロライブに間に合いたかった。今年は"年忘れワンマン"と題されていて、恒例になってきた感がなんとなく嬉しい。

 御茶ノ水でMと待ち合わせた。夕食を摂る時間はあまり無いけれど、せっかく上京してきてファストフードももったいないなと思い、久しぶりに丸香に寄った。いつもの通りジミヘンがしっかりした音量で流れる中、相変わらず皆うまそうにうどんを啜っていた。少ない時間でもおいしいものが食べられて、気分がほどよく盛り上がった。

 年末に、大野さんの歌とギターを聴く。今年も終わっていくんだなという諦めの始まりのような気分と、まあまあいろんなことがあったなというただの回想が巡る。それは、ずっと聴いていたくなるような何にも代えがたい時間だと、今年は特に強く思った。長年彼を悩ませてきた病状が快方に向かっているとのことで、後半多く演奏された新しい曲たちのさりげなくも清々しい心地よさは、それと無関係ではない気がした。帰る客に挨拶を交わしていた大野さんと目が合った時、また来年、そんな言葉が自然と口から出た。