12月30日

 今年の勤務は昨日で終わった。帰省するMを駅に送り、今日からひとりの時間となった。

 今週は、出向先の外国から一時帰国してきた伊藤君と会った。なんとなくでメールしたらちょうど東京にいるとのことで、会うことになった。前から約束してたわけでもなくたまたま気が向いてそうなっただけ。毎度のことだ。セオリー通りにカレー屋に行って、適当に歩きながら話をした。寒いし座りたくなったから喫茶店にでも入ろうとしかけたが、年末の昼下がりなんてどこもいっぱいだし、そもそもおれたちがそんなところに行ってもなんとなく白けるだけなのは分かり切っている。伊藤君が迷わずここと選んだバーガーキングのやたら広くて少し暑い店内で、コーヒーを飲んだ。それ以上、何かあったようななかったような。いつもの通りだった。

 ひとりになったことだし、今日はガラクタで狭まった部屋を片付けようと思ったけれど、そういう状態は物を処分しないと解決しない。金も無いし、売れる物はどこかに売りに行こうかとも思ったが、おれが隙間を空けたらすかさずMが物を増やすだけだし、二束三文で束の間の空間を作ってどうなるものか。そうして結局右から左へ移動しただけで、大して片付かないのは、これもまたいつも通りの展開である。

 キャンセルした新幹線の切符を払い戻しに、駅の窓口へ行った。係の女性が四苦八苦しながら手続きをしてくれるのを数十分待った。窓口は一つしかなく、おれの後ろには焦れた列ができていた。変な買い方をしたつもりはなかったが、周囲に少し申し訳ない気持ちになった。

 サッカー選手のペレが亡くなったそうだ。サッカーをしたことはないが、髪質が似ているのと誕生日が同じであることで、中学生のほんの一時期、おれはペレと呼ばれていたことがあった。ペレ自身も、ペレという愛称で呼ばれることはよく思っていなかった時期があるらしい。ご冥福を祈ります。