日記 7/13

 学生時代からの友人は二人しかいない。そのうちの一人に、昨日久しぶりに何気なくメール連絡してみたら、近々結婚するという。へーと思いながら、おめでとうと返す。幼稚園からの馴染みではあるものの、彼とは本のことくらいしか話さないので、そういう相手がいるのは知らなかった。とはいえ、おれが誰かから受ける結婚報告は大体いつもそんな感じだ。前触れ無しか、事後報告か。おれも彼も所帯染みた話が文字に残るのは決りが悪いし、大まかな事情くらいは今度会ったら話してくれるかもしれない。

 大学進学以降は随分身分が違ってしまったが、彼がいたから(渋々ノートを見せてくれたから)おれは高専を卒業することができたと思う。大学の研究室が忙しすぎて就活をすると偽って逃げ出し、同じかそれ以上に忙しい他県大学の研究室にいた彼の下宿で数日ゴロゴロしていたこともあった。今ではもう思い出す景色の色はくすんでいて、本当にそんなことがあったのかもはっきりしない。