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 昨年の4月から、街の外れの打ち捨てられたような地域にある職場に通い始めて、1年近く過ぎようとしている。おれが打ち捨てられていると思っていた地域でも、余すところなく利用しようとしている人たちはいるもので、秋くらいから巨大な壁のような何かを建設しているところがいくつもある。やっと見つけた快適な通勤道路にも、両脇に日を遮る工場や倉庫が完成しようとしている。数ヶ月前に着工した頃から、工事車両が道を塞ぐようになったし、完成したらそこに通勤する人も増えるだろう。いずれはコンビニなんかもできるかもしれない。交差点にはすぐに信号が付いて、おれはどんな顔で赤信号を待つのだろう。