深夜ラジオのように

 数日雨が降り続いている。せっかくの連休なのに、やる気が出なくて作業が進まないが、災害を経験している地域の人々に比べたら贅沢な不満でしかない。

 Mさんは妹のところへ遊びに行った。帰りは迎えに来いとのことなのに、何時に帰るのか告げなかった。おれもやりたいことはあるので、時間の目安くらい知りたかったが、瞬間、脳が高速回転して知らない方がゆっくり昼寝をできると思い、追及しなかった。

 

 こないだ、遅番の仕事から帰って、10代の頃から好きな深夜ラジオ番組を聴いていた。その日は投稿のコーナーが、年に何回もないような盛り上がりだった。パーソナリティはエンディングで「なんだかわかんないけど今日おもしろかったなあ。でもこういうの、明日になったら覚えてない。なんにも思い出せないんだろうなあ。」と言って番組を閉じた。

 そんな深夜ラジオを聴いて育ったからかどうかは分からないが、おれ自身も誰かとの楽しかった会話などは、一体何が楽しかったのか思い出せない。その日限りは以前より親しくなった感じがしても、大抵次に会ったらお互い何も無かったような接し方になる。それを何となく申し訳なく思っていた時期もあったが、今はもうそれでいいと思うので特に気にしていない。

 そういえば、楽しいわけではないが、こうして書いた文章のことも書き終えたらいつも自然と忘れてしまう。文章そのものよりも、そういうこと自体が自分のある性質を反映しているところは、確かにある。