休暇

 ここのところ変則的な時間の勤務が続いている。しかし今日は、直前になって予定がぽっかり空いたので、いっそのことと休みを取った。電車に乗って映画を観に行くことにした。天気が良くて暖かく、一部で桜も咲いている。道行く人々の服装も変わった。多くの人が防寒機能を最優先していた季節は、過ぎつつある。特に生地を見ていると様々な選択肢から選べる豊かさを感じるものの、おれ自身の衣装タンスにはそもそも大した選択肢がないのだった。

 映画までの時間、レコード屋と顔馴染みの喫茶店に寄った。喫茶店では店の人と好きなバンドやラジオ番組の話をして、レコ屋では安レコードを数枚買った。さっき聴いてみて、今回は随分元気のいい曲調の音楽ばかり選んでしまったものだなと思っていたが、間違えて早い回転数でかけてしまっていただけだった。あるある。

 ダイナソーjrのドキュメント映画を観た。若い頃の未熟さから喧嘩して分解してしまったが、時を経てそれぞれが人間的に成長したことで関係を修復した、というくらいで、ここに映画的に驚愕するような物珍しい展開は無い。しかしそんなメンバーの素直さが、自分たちの音楽への真摯なアプローチにも繋がっていることが見て取れて、嬉しかった。ロック史的には、メジャー契約以降のダイナソーが巻き込まれていった(と言っていいと思っている)グランジがどういうものだったのかを、Nirvana以外の主眼で語る良い記録だとも思った。ダイナソーの長いキャリアを通じて色んな時期のライブ映像を観ることができるが、まさに三位一体の塊のようなグルーヴが、バンドというものの神秘を体現していた。それはメンバー以外の証言やエンドロールの2曲の選び方からも強く感じた。