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 土曜日、休日。春分の日、そう気付いたのは夕方だった。天気がゆっくり崩れていき、夜になって雨が降った。

 最近買った輸入中古レコードの解説文を翻訳して過ごす。音を気に入ったので背景を調べようとしたのだが、ネットでは詳しい情報が見つからず、ジャケットに直接的な解説文が載っているというのにナニモワカリマセンデシタと諦めるのは、何だかものすごく愚かな気がしてしまうのだった。

 車の1年点検に行った。なるべく大事に乗っているつもりだし、修理に大金を払う余裕もないので、整備士から新車同様ですというコメントをもらって内心ほっとした。買う時にちょっとしたやり取りがあったので、あれからもう1年ですか...という複雑そうなコメントも出たが、それ以上深くは聞かないでおいた。

 図書館で本を借りて、いつもの喫茶店に歩いている途中、喫茶店の人がやっているフリースペース(?)で展示をやっているのが見えた。店で新聞を読みつつコーヒーを啜っていると、それは常連の学生さんの卒業記念展示だと、見に行くことを勧められたけれど、年の近そうな女の子たち何人かで賑やかにしていたので、今回は遠慮しておいた。帰りにまた外から覗いてみると、さっきのメンバーの中に、顔見知りの年配の音楽デザイナーの方がちゃっかり加わって談笑していた。さすがだな、と眺めつつ小心者は素通りした。

 暖房の要らない時間も増えてきたことだし、頭を軽くしたくて髪を切った。いつもの床屋は良い話し相手で、シンプルな話題と話し方なのに色々と思わせるところがあり、内容の濃い小一時間を過ごした気分になった。洗った髪を乾かしている時、強くて長めの地震があった。宮城県では津波も起きたという。店の奥から飼い猫が飛び出してきて、テレビの前のソファに座り、ジッと速報画面を見つめていた。最新情報を仕入れているのか。実に防災意識の高い猫だ。

 街に出れば、人や猫に感心するばかりである。