スポーツ

 今年は、自分のスポーツ観が大きく揺らいだ年だった。地方都市に生まれた自分は、実際の競技を見る機会はほとんどなく、家族や知人が特定の競技やチームなどに夢中だったということも無い。学校生活の部活動にもそれほど入れ込まなかった。振り返ると、関心はあったけれどなかなか見られない競技そのものよりも、文字情報のデータ集めが好きだった。10代まではそれでよかった。

 オリンピック。おれが純粋に楽しく見られたのは、2000年のシドニー大会までだったと思う。大人になって、大会の開催にまつわる周辺の事情を知るにつれ、疑問が大きくなり、どんどん楽しく見られるものではなくなっていった。そのピークとして昨年から今年にかけての東京大会が起こった。大きく変わらなければならない時を過ぎているのに、誰にもそれができず、目を背ける自分もなし崩しにその一部になっている気がして、ついに出場選手にも大きな疑問を持っていった。多くのひとがいろいろなことを言ったけれど、自分が見た限りではどれにも納得できなかった。東京大会が終わった今も、生活のあちらこちらに北京大会の影響が出ている。それを、受けるべき正当なものとして捉えることは、やはりできていない。

 一方で、もうスポーツなんてと思いながらも、長年ずっと応援を止められずにいたスワローズが、セントラルリーグ日本シリーズを制するということがあった。チームが調子を上げていったシーズン後半からは、今思うとちょっとした夢見心地だったと思う。スワローズには特有の意外性があり、前年がさっぱり駄目でも、今年は分からんぞ、という不思議な雰囲気がある。今回も2年連続最下位からの日本一で、信じ難い反面、そういうことが起こる球団だよな、とも思うのである。今年のチームは、リーグの中で見れば全員が突出しているわけではなくても、活躍する選手が毎日のように変わるから、対戦相手から対策されにくいところがあった。日本シリーズは、どの試合もそれを象徴するような内容で、毎試合を見ていて、どの選手にも大きなストーリーがあったなあ、と感慨深い思いに駆られた。ずっと応援していて良かったと素直に思うことができた。職場にはプロ野球好きが多く(それぞれ応援チームが違う)、最終戦の翌朝おめでとうと言ってもらえて、ちょっとだけ誇らしい気持ちにもなった。願わくば来年も良い思いをさせてほしいけれど、どうだろうか。欲張らずに今までどおり静かに見ていようと思う。