レコード最近

 もうひと月近く前になるが、古いジャズのレコードを買ったので聴いていた。記載情報を見ると、半世紀以上前の今とほぼ同じ時期にブラジルで録音されたらしい。ジャズは即興性の高い音楽だからか、録音物にはドキュメント的なところがあり音が吹き込まれた日付が記されていることが多い。日記的とも言えるかもしれない。その時のその場所に想いを馳せて、瞬間の音に没頭するという、特殊な楽しみがある。

 別の日、なぜかThe Doorsのレコードが欲しいと思い立ち、知ってるレコード屋の中でそれがありそうな店に車を走らせた。目当てのアルバムが見つかって、満点の買い物ができたのだが、会計する時に、店の人が今はあまり品揃えに自信がないような雰囲気のことを言っていた。そうなんですか、としか返せなかった。家に帰って早速鳴らしてみるとThe Doorsのちょっと不穏なブルーズは、おれがちょうど今聴きたかった音楽だという感じがした。店の人にも、そんなことないよ、欲しかったものが買えましたよ、とすぐに言ってあげられたらよかったと思った。