大晦日

 久しぶりに地元で過ごす年末年始。色々な都合で何泊もしているせいか、もうすっかり退屈に飽きている。自宅にいればやることは山ほどあるのに、自分は何をしているんだろうか。外では一日中、氷点下の風が吹いている。

 

 外出、勉強、買い物、食事...。生来怠け者の気質のため、自分から何かをしようということは他人よりも少ない。たまに自発的に思い立ったことを、必要に応じて誰かに告げると、それよりはこっちがいいとか、そんなものはやめておけとか、なぜそんなことをするのかとか、アドバイスをもらうことがある。そういう時は、ウンウンと聞いているうちに、なけなしのやる気が霧消しそうになる。意見を言ってもらえるのはありがたい気もするが、相手はすでに自分の主義を繰り返し宣言しているだけで、ほとんどおれを見ていないことが多い。それはそれで面白いこともあるが、今後この人とはもう少し距離を置いとこうという気持ちになる。

 少々疎遠な親戚がお祝いをくれたと聞き、お返しを持参した。そこで彼らの、おれはほとんど会ったことのない孫娘が、おれの住んでいる地域の有名大学に合格したと聞かされた。自慢げに、何かあったらよろしくとのことだった。秋に報告に行ってから随分間が空いているので、お祝いをなぜこのタイミングで寄越したのか、疑問に思っていたが、要するにその話を直接おれにしたくて体良くおびき出したというわけだ。内心では唾を吐きたい気持ちで、「困ったら何でも言ってください」と発していた。この人たちは昔からこういう調子で、できればもう会いたくない。

 振り返ると、おれは人付き合いをするとこんな風に離れようとしてばかりで、これまで自分から誰かとの距離を縮めようとしたことがほとんどない。だから昔から友人もあまりいないし、人の集まりでの楽しかった思い出もほとんどない。

 この秋、結婚をした。思っていたのと勝手が違うことばかりで大変だけど、どういう訳だか自分から声をかけながら少しづつ近づいた、唯一の相手だということを忘れずにいようと思う。