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 職場の昼休みに、何曜日だったか忘れたが、テレビで地方に移住した人を扱う番組が放送されている。移住のきっかけや今の暮らしについてのインタビューでは、大きく2パターンに分けられると感じる。それを決めているのは都会からの距離感だと思う。本当にその土地に惚れ込んでいたりやむを得ない理由を抱えていたりする人たちと、程よく田舎と街が両方あり、出ようと思えば都会にも簡単にアクセスできる利便性がある生活を好んでいる人たちとでは、顔つきが違うように見える。都会というのは、もちろん東京を指すことが大半である。東京の引力。物理的な距離の問題で東京へ簡単にアクセスすることなど叶わない地域で育ち、今は東京のベッドタウンとしての側面も持つ町で暮らしている身からすると、番組の内容とは関係なく複雑な感情を覚える。おれも毎週末のように東京のどこかに遊びに行っていた時期があったが、東京が好きだったことは一度も無い。

 いつだったか、作品のほとんどが地方や海外の風景を写している写真家のトークイベントで、「東京はどうしても作品にならないんです」というようなことを言っていて(東京を写した作品が極端に少ないことにそれまで気が付いていなかった)、真意を得ずとも自分の中に響くものがあった。あそこは、あってほしい何かが決定的に欠けていると思う。