マスク

 ここのところニュースでは、マスクを付けるか外すかみたいな話をずっとやっている。なんとなく聞いていると、周りに人がいなければ外すべきだとか、そもそも日本人は外したがらない人が多いのだとか、同じ内容を毎日繰り返している。去年も夏が近くなった頃に似たような話題が挙がっていたけれど、今はなんとなく雰囲気が違う。あなたはどうしますか、という投げかけのように見せかけて、結局は未だに無条件でマスク付けっぱなしのひとを駄目なやつとして扱おうとしているように感じるのは、それほど不自然じゃないと思う。外す人が過半数になるまで、ずっとやるのだろうか。

 少し前までは、専門家の見解に従ってとにかくマスク付けとけ、日本人は衛生意識が高いから皆マスクできている、とか騒ぎ立てて、付けてない人を知能の低い迷惑なやつだから根絶やしにするみたいな風潮すらあった。今度は逆に付けっぱなしの人を、お得意の十把一絡げで、自分で判断できない顔も見せたくない情けないやつみたいにイメージ付けて減らそうとしているようだ。方向性は真逆でも、相変わらずやっていることは同じだと思う。報道でも何でもない。

 今やマスクという道具に対する知識は、一般人でもある程度分かりきっていて、今後それが大きく変わることはないだろう。だから使い方について、状況による適当な判断をすることはそれほど難しくないはずで、個人的には、もうああだこうだといちいち脅かされたり、作られた多数派の視線を感じながらやりたくない。病気の重症化率がめちゃくちゃ上がったとかでもない限りは。

 リスクが低い場面では外してよいとは言え、家を出る時に持ち忘れてしまうと不便が生じるから、おれは着用して出かける。短時間でいちいちオンオフするのが面倒なので、どこかを歩いている時などは基本的に付けっぱなし、暑いなと思ったら少し外すこともするが、耳からも外すのは食事の時くらいだ。おれ個人はそれくらいが、負担が少ない妥当なところだと考えている。誰かが作ったまがい物の正解に大衆丸ごと誘導されなくても、それぞれが考えながら適当にやればいいじゃないかと思う。